目次
博士後期課程
|堤崎暁(2019年度入学)
<研究テーマ>
19世紀の女性作家ジョルジュ・サンド(1804-76)、特にサンドの社会主義小説について研究しています。ミュッセやショパンの恋人、田園小説の書き手、といったイメージの強いサンドですが、実は1840年代、当時高まりを見せていた社会主義思想に傾倒し、平等な社会を目指して政治的活動を精力的に行っており、その時期に発表された作品は現在「社会主義小説」と呼ばれています。社会主義思想への傾倒、政治参加がサンドの作家活動に及ぼした影響を明らかにすることを目指しています。
<論文>
・ジョルジュ・サンド『フランス巡歴職人』における自己犠牲と自己愛
(『関西フランス語フランス文学』、第27号、日本フランス語フランス文学会関西支部会、2021年、p. 39-49)https://doi.org/10.24490/ellfk.27.0_39
・ジョルジュ・サンド『ジャンヌ』における「境界」の存在
(『Gallia』、第59号、大阪大学フランス語フランス文学会、2020年、p. 59-68)http://hdl.handle.net/11094/77093
・ジョルジュ・サンド『ジャンヌ』におけるヒロインの象徴性
(『待兼山論叢』、第53号文学篇、大阪大学文学会、2019年、p. 95-109)http://hdl.handle.net/11094/81491
・Jeanne, de George Sand : une figure nouvelle d’héroïne(修士論文)
・ラディゲ『ドルジェル伯の舞踏会』における「田舎」の機能(卒業論文)
|涌井萌子(2021年度入学)
<研究テーマ>
1648年から1653年にフランスで起こったフロンドの期間中に出回った政治パンフレ・マザリナードについて研究しています。多種多様なパンフレを含む5000超のコーパスの中で、特にレ枢機卿(1613-1679)が書いたとされるものに限定しています。政治的な反乱に関連するテクストであるため、文学や歴史学、デジタルヒューマニティーズなど様々な切り口から分析と考察を進めており、特に17世紀における匿名テクストのふるまいについて、世論の先駆けと言える「公共空間 l’espace public」の性質を念頭に研究を継続しています。
<論文>
・レ枢機卿の「もっともらしさla vraisemblance」─ マザリナードにおける自己表象 ─
(『関西フランス語フランス文学』、第28号、日本フランス語フランス文学会関西支部会、2022年、p. 3-13)https://doi.org/10.24490/ellfk.28.0_3
・Les mazarinades de Cardinal de Retz dans l’espace public de XVIIème siècle
(『Gallia』、第61号、大阪大学フランス語フランス文学会、2022年、p. 3-11)http://hdl.handle.net/11094/87594
・マザリナードと公衆─レ枢機卿のマザリナードを例に─
(『待兼山論叢』、第55号文学篇、大阪大学大学院文学研究科、2021年、p. 55-69)
・「生きる力」を育む教育的「情報インフラ」
(公益財団法人昭和池田記念財団 第39回昭和池田賞優秀賞受賞学生論文)https://www.smk.co.jp/company/ikeda/winner_39th/
・Les mazarinades de Cardinal de Retz et leurs « publics » : entre rhétorique savante et passions populaires(修士論文)
・マザリナードの機能―シラノ・ド・ベルジュラックによるマザリナードを例に―(卒業論文)
|戸田千晶(2022年度入学)
<研究テーマ>
スペインを舞台にしたプロスペール・メリメの作品群について19世紀のパリにおけるスペイン文化の流行の影響について主に研究しています。ここでいうスペイン文化とはエドワード・サイードの指摘するオリエンタリズム観と大きく結びついていると考えられます。そこで、メリメの書簡なども参考にしながらとりわけセビリア(アンダルシア地方に属する)を主な舞台とする『カルメン』で描かれる女性像に注がれるキリスト教圏文化の国の男性から彼らにとっての異国の女性への眼差しに注目して研究を進めています。
<論文>
・La fonction des barrières dans Carmen(修士論文)
|中島姫奈(2022年度入学)
|三原大輝(2023年度入学)
<論文>
・L’interprétation des manuscrits fragmentaires des Pensées de Pascal(修士論文)
博士前期課程
|中村典子(2021年度入学)
<研究テーマ>
「言葉が人に及ぼす力」に対する知的好奇心を満たすべく、言語学・記号学、さらには世に潜むイデオロギー操作について探求を進めています。1960年代に世の中を席巻した構造主義の四銃士の一人、ロラン・バルトの著作『神話作用』『モードの体系』が主たる研究対象です。バルトは自らが「神話」と称した、メディアを通して無意識の内に「自明なこと」として人々を信じ込ませている社会現象に関してどのような問題を見出し、また批評家・記号学者としていかに対峙し、自身の作品に反映させたかを明らかすることを目指しています。
<論文>
・レジスタンスの詩について(卒業論文)